2006/08/31

哲学探究第三版の覚え書きの訳

この第三版についての覚え書き
この版は、1953年に最初に出版されたエリザベス・アンスコムの英訳に、彼女の行なった最終的な改訂を組み込んでいる。また、いくつかの誤植を訂正する機会も得た。この版に際してテキストはページが振り直されている。結果として、上の二つの覚え書き〔第二版、及び第二版の再出版についてのもの〕でのページ数の参照はもはや当てはまらない。
ニコラス・デナイヤー
トリニティカレッジ
ケンブリッジ

2006/08/29

画像対象

ここで、画像対象という概念を導入すると役に立つ。たとえば、次の図は〈画像の顔〉であろう。
わたくしはこれに対しては、多くの点で一つの人間の顔に対するようにふるまう。わたくしはこの表情を研究することができ、その表情に対しては、人間の顔の表情に対するように反応することができる。子供は画像の人間や画像の動物に対して語りかけ、それらを人形でも扱うように取り扱うことができる。(『哲学探究』386頁)


画像対象という概念は、本というメディアの特性上実物を指し示しながらの論述ができないために導入されたのではないか!?
この画像対象という概念により、本の上に描かれた画像が実物に対する画像ではなく、それ自体がある種の実物として対象になると考えられる。
つまり、画像対象は実物と同じ権利を持って、例としてとり上げられているのではないだろうか。